とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

2020-01-01から1年間の記事一覧

乳がんに対する乳房温存術後放射線治療;寡分割照射/短期照射 vs. 通常分割照射

・欧米(カナダやイギリス)から、乳房温存手術後の放射線治療において、3週間程度の寡分割照射/短期照射は5週間程度の従来の通常分割照射に劣らないとの成績が報告されていました。 ・日本でも、多施設共同試験で、寡分割照射照射/短期照射の安全性は確認…

リンパ節転移陰性/非浸潤性乳管がん(DCIS)に対する乳房温存照射;短期照射は安全に施行可能?

【まとめ】 ・早期乳がんに対する乳房温存手術後に放射線治療を行うことにより、乳房内からの再発を減少できることが知られています。 ・以前は、手術が行われた乳房に対し、50 Gy/25回(約5週間)の照射が行われていました。 ・海外のランダム化比較試験の…

ESMO 前立腺がん診療ガイドライン 2020、ホルモン感受性転移性前立腺がん

【まとめと雑感】 ・これまで、転移のある前立腺がんの患者さんに対して、前立腺に対して放射線治療を行う機会は少なかったと思います(排尿障害などの症状緩和を目的とすることはありました) ・ランダム化比較試験結果から、臓器転移がなく、骨転移も少な…

ESMO 前立腺がん診療ガイドライン 2020、限局性/局所進行がんに対する根治治療

【まとめと雑感】 ・転移のない前立腺がんに対する根治的な治療としては、主に手術と放射線治療(外照射、低線量率小線源治療)があります。 ・手術と放射線治療、どちらが良いのかは現時点では不明で悩ましい問題なのですが、それぞれの治療には良い面、悪…

ESMO 前立腺がん診療ガイドライン 2020、前立腺摘出術後放射線治療、サマリ

【まとめと雑感】 ・前立腺がんに対する前立腺摘出術後の放射線治療を行う適切なタイミングには議論がありました。 ・最近のランダム化比較試験(RADICALS-RT、RAVES、GETUG-17)結果から、アジュバント放射線治療(術後放射線治療)を避け、PSA再発時に早期…

少数転移/オリゴ転移に対する体幹部定位放射線治療は長期の生存成績を改善する。

【まとめ】 ・SABR-COMET試験の以前の報告では、標準的な緩和治療と比較して、転移病巣に対する体幹部定位放射線治療を行うことで生存期間を延長できる可能性が示唆されていました。 ・より長い期間経過を見てみると、体幹部定位放射線治療を行った患者さん…

【SABR-COMET】遠隔転移の数が少ない場合、転移病変に対する体幹部定位放射線治療は予後を改善するか?

SABR-COMET. Palma DA, et al. Lancet. 2019. PMID:30982687 【まとめ】 ・がんの患者さんで、遠隔転移を合併している場合には、病気の治癒は望めないとして、全身治療が標準治療として行われてきました。 ・放射線治療技術の進歩とともに、遠隔転移の数が少…

<RADICALS-RT>前立腺がんに対する前立腺摘出術後、放射線治療を行う適切なタイミングは?

RADICALS-RT. Parker CC, et al. Lancet. 2020. PMID: 33002429 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 背景: ・前立腺がんに対する根治的前立腺摘出術後の放射線治療の最適な施行時期は確立されていない。 ・術後(アジュバント)放射線治療と経過観察を行い、生化学的…

小数転移/オリゴ転移合併 非小細胞肺がんに対する局所地固め療法は予後を改善するか?

Gomez DR, et al. J Clin Oncol. 2019. PMID: 31067138 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ・少数転移/オリゴ転移合併 非小細胞肺がんに対する局所地固め療法 (local consolidative therapy, LCT)(放射線治療 または 手術)と維持療法/経過観察 (maintenance therap…

高齢者の早期乳がん, 乳房温存手術後の放射線治療は必要?

高齢者の早期乳がんに対する乳房温存手術後の術後放射線治療は必要? →術後に放射線治療を行った患者さんで, 明らかに再発率が低く, 放射線治療の効果と考えられます。そのため, 術後再発を予防するために放射線治療は必要です。ただし, 放射線治療による生…

転移性非小細胞肺がん;抗CTLA-4併用SBRT vs. 抗PD-1併用SBRT

転移性非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)と体幹部定位放射線治療(SBRT)の併用 ・抗PD-1薬剤(Pembrolizumab )併用 と 抗CTLA-4薬剤(Ipilimumab)併用の有効性の比較 ・2つの前向き研究を遡及的に解析/比較 ・転移性非小細胞肺が…

肝細胞がんに対する体幹部定位放射線治療の有効性/安全性は?

・肝細胞がんに対する体幹部定位放射線治療 ・第2相試験 対象: ・新規診断, 単発性, 肝細胞がん;肝外病変なし, 標準的な局所治療不適, 腫瘍サイズ1-6cm ・体幹部定位放射線治療:45Gy/3回 ・Primary endpoint: 照射した肝細胞がんの18ヶ月局所制御 ・43例…

肝細胞がんに対する体幹部定位放射線治療の有効性/安全性は?

・肝細胞がんに対する体幹部定位放射線治療 ・第2相試験 対象: ・新規診断, 単発性, 肝細胞がん;肝外病変なし, 標準的な局所治療不適, 腫瘍サイズ1-6cm ・体幹部定位放射線治療:45Gy/3回 ・Primary endpoint: 照射した肝細胞がんの18ヶ月局所制御 ・43例…

EGFR mutation 陽性の非小細胞肺がん患者に対するオシメルチニブによる術後補助療法は無病生存を改善するか?

EGFR-mutation陽性 非小細胞肺がんに対する, オシメルチニブによる術後補助療法 ADAURA ・第3相ランダム化試験 ・完全切除が行われた EGFR mutation 陽性 非小細胞肺がん ・(1:1)の割合で, オシメルチニブ投与群(80 mg once daily) と プラセボ投与群に…

肉腫に対する術前化学放射線療法;パゾパニブの追加によりpathological near complete responseは改善するか?

ARST1321 小児/成人 intermediate-grade / high-grade 軟部組織肉腫に対する化学放射線療法;パゾパニブの追加 ・Children’s Oncology Group and NRG Oncology ・ランダム化第2相試験 ・対象:成人(18歳以上) および 小児 (2歳から18歳未満), 切除不能, …

高齢者膠芽腫;術後放射線治療 vs. 支持療法

高齢者悪性神経膠腫;術後支持療法 vs. 術後放射線療法 ・対象:70歳以上, 新規診断, 退形成性星細胞腫/膠芽腫, Karnofsky performance score 70以上 ・支持療法単独群と放射線治療群にランダム化 ・放射線治療:局所照射, 1回1.8Gy, 合計50Gy ・Primary end…