とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

局所進行直腸がんに対する術前放射線治療 1日2回照射による短期照射の有効性

Doi H, et al. Cancers (Basel). 2021. PMID: 34439265
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34439265/

 

・局所進行直腸がんに対する1日2回照射による術前短期放射線治療

 

<目的>
・局所進行直腸がんに対する1日2回照射による術前短期放射線治療の治療成績および予測因子を評価すること

 

<対象と方法>
・局所進行がんに対し1日2回照射による術前短期放射線治療を施行した97例を遡及的に解析を行った
・1回 2.5 Gyの照射を1日2回行い、合計25 Gy/10回の照射を行った
放射線治療期間中の経口による化学療法が95例(97.9%)で行われていた
・根治手術を化学放射線療法6週(3-13週)後に行った

 

<結果>
・生存例の経過観察期間(中央値)43ヶ月(8-86)
・全例で術前放射線治療を完遂し、Gr3+の急性期毒性を認めなかった
・局所制御率:3年 96.3%、5年 96.3%
・全生存率:3年 92.7%、5年 79.8%
・(単変量解析)カペシタビンの非同時併用、CRP-アルブミン比 0.053以上、CEA値 3.4 ng/mL以上、好中球-リンパ球比(NLR, neutrophil-to-lymphocyte ratio) 1.83以上が不良な全生存と関連していた
・(多変量解析)好中球-リンパ球比 1.83以上が独立した全生存の予後不良因子であった(p=0.018)

 

<結論>
・局所進行直腸がんに対する1日2回照射による術前放射線治療は施行可能で臨床成績は瘻孔な様子
・好中球-リンパ球比(NLR)高値の患者では全生存が不良であった

 

 

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