とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

転移を有する腎細胞がん 少数の進行病変に対する放射線治療

De B, et al. BJU Int. 2021. PMID: 34228889
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34228889/

 

・転移を有する腎細胞がんで、頭蓋外の少数の進行病変に対する根治的放射線治療(definitive radiotherapy)
・遡及的研究、米国

 

目的>
・転移を有する腎細胞がん患者において、少数の進行病変に対する根治的放射線治療により、病勢制御や生存成績を悪化させることなく全身療法の変更を遅らせることが可能かを評価すること

 

<対象と方法>
・2014-2019年、頭蓋外の進行病変が3個以内で、進行病変に対し放射線治療を施行した転移を有する腎細胞がんを同定した
・組入れ基準:1)少数進行以前に3ヶ月以上の病勢制御、2)すべての少数進行病変に対し生物学的等価線量(BED, biologically effective dose)100 Gy以上、3)画像による経過観察が可能であった

 

<結果>
・72例が同定された(経過観察期間 [中央値] 22ヶ月)
・少数進行病変:肺/縦隔 35病変、脊椎 30病変、脊椎以外の骨 5病変
・少数進行前の主な全身療法:なし 33例、チロシンキナーゼ阻害剤 23例、免疫療法 13例
・1年時点での局所制御率 96%、無増悪生存率 52%、全生存率 91%

 

<結論>
・転移を有する腎細胞がん患者で、少数の進行病変に対し放射線治療が行われた患者において、全身療法の方法によらず無増悪生存は同様で、全身療法の変更を遅らせるために実行可能な治療法かもしれない

 

<関連>

radiatpost.info

とある放射線治療医の備忘目録