とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

肝門部胆管がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT)は安全か??【STRONG trial】

Baak R, et al. Cancers (Basel). 2021. PMID: 34439146
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34439146/

 

・肝門部胆管がんに対する化学療法+体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiation therapy)
・第1相試験、オランダ、STRONG trial

 

<背景>
・外科的手術不能な肝門部胆管がんに対する標準治療は緩和的化学療法
・今回、化学療法後に体幹部定位放射線治療の追加の実行可能性と安全性に関する研究を行った

 

<方法>
・外科手術不能な肝門部胆管がん、T1-4N0-1M0、ECOG PS 0-1、シスプラチン+ゲムシタビンによる化学療法 6-8サイクル後、病勢進行のない患者を対象とした
体幹部定位放射線治療:1回線量 3-4.5 Gy、15分割の照射を施行
・主要評価項目:実行可能性(予定した体幹部定位放射線治療の完遂と定義)および 毒性(体幹部定位放射線治療後3ヶ月以内のものをCTCAE v4.03を用いて評価)
・線量制限毒性(DLT, dose-limiting toxicity):肝臓/胆管毒性(Gr4+)または消化管毒性(Gr3+)と定義

 

<結果>
・2017年11月-2020年3月、6例の患者が登録された
体幹部定位放射線治療は予定どおり施行された
・全例60Gy/15回の(4.0 Gy x 15回)の照射が行われた
・経過観察期間(中央値)14ヶ月
・12ヶ月局所制御率:80%
・実質的な生活の質(QOL, quality of life)に変化を認めなかった

 

<結論>
・外科的手術が不能な肝門部胆管がんに対する緩和的化学療法後、病勢が安定している患者に対する体幹部定位放射線治療の追加は実行可能で安全
・観察された局所制御はさらなる有効性の評価を行うに値する

 

 

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