とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

非小細胞肺がん 少数進行病変に対する放射線治療

Friedes C, et al. Cancer. 2020. PMID: 32729962
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32729962/

 

・転移を有する肺がん患者における孤立性の病勢進行に対する根治的放射線治療
・後ろ向き研究、米国

 

背景>
・転移を有する非小細胞肺がん患者において、病勢進行が認められた場合には新たな全身療法を開始する必要があることが多い
・しかしながら、非小細胞肺がんで少数転移(3病変以下)の患者では、局所放射線治療により、抵抗性のマイクロクローンを消滅させることができるかもしれない

 

<方法>
・2008-2019年、頭蓋内 または 頭蓋外の少数転移病変全てに対し根治的放射線治療を行い、全身療法を変更しなかった患者を同定した

 

<結果>
・198例の患者において、253の少数増悪イベントが認められた
・頭蓋内の進行が51%、頭蓋外の進行が49%に認められた
コホート全体において、画像的無増悪生存期間(中央値)7.9ヶ月、新規治療までの期間(time to new therapy)(中央値)8.8ヶ月
・良好な全身状態(p=0.003)、転移が少ないこと(p=0.03)、少数増悪までの期間が長いこと(p=0.009)、放射線治療施行までの全身療法の数がすくないこと(p=0.02)が良好な画像的無増悪生存と関連していた
・複数の部位での少数病変進行例では画像的無増悪生存が不良であった(p<0.001)

 

<結論>
・選択された少数の病変進行が認められた転移を有する非小細胞肺がん患者において、進行病変に対する根治的放射線治療は実行可能な治療法で、新たな全身療法への変更を遅らせることが可能かもしれない

 

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