内視鏡的切除不能なI期食道がん 化学放射線療法による食道温存
Suwa T, et al. Clin Transl Radiat Oncol. 2021. PMID: 34430719
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34430719/
・内視鏡的切除ができないI期胸部食道扁平上皮がん;食道温存を目的とした化学放射線療法
<背景と目的>
・内視鏡的切除不能で外科的手術可能なI期胸部食道扁平上皮がんに対する、食道温存を目的とした集学的治療の長期成績を評価すること
<対象と方法>
・1992-2005年にI期胸部食道扁平上皮がんに対しプロトコールに準じた治療を行った患者を遡及的に解析した
・治療プロトコール:同時化学放射線療法を施行し、良好な奏効が得られた患者に対しては化学放射線療法を追加(化学放射線療法群)、中等度の奏効や奏効が不良な患者に対しては外科的手術を施行(手術群)
<結果>
・51例を解析
・年齢(中央値)67歳
・経過観察期間(中央値)124.8ヶ月
・中間評価の後、49例に対し化学放射線療法が追加され、2例に対して手術が施行された
・5年成績:全生存率 78.9%、無病生存率 53.5%、食道がんに伴う累積死亡率 10.5%、累積食道機能消失率 20.4%
・10年成績:全生存率 55.2%、無病生存率 27.8%、食道がんに伴う累積死亡率 18.2%、累積食道機能消失率 22.9%
・晩期毒性(Gr3):食道狭窄 1例、食道潰瘍 1例、心嚢水貯留 2例
・Gr4+毒性は観察されなかった
<結論>
・I期胸部食道扁平上皮がんに対する臓器温存療法の長期生存成績は良好で、毒性は許容可能なものであった
・内視鏡的切除不能 I期胸部食道扁平上皮がんにおいて、救済治療を併用することにより、化学放射線療法は多くの患者で代替治療となる可能性が示唆された
<関連>