とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

【ICE-PAC trial】転移を有する去勢抵抗性前立腺がん 免疫チェックポイント阻害薬(アベルマブ)と体幹部定位放射線治療の併用

Kwan EM, et al. Eur Urol. 2021. PMID: 34493414
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34493414/

 

・転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(CRPC, castration-resistant prostate cancer)に対するアベルマブ(avelumab)併用体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)
・第2相試験、ICE-PAC trial(オーストラリア)

 

<背景>
・転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対する免疫チェックポイント阻害剤単独治療の有効性はあまりよい結果ではない
・高線量放射線治療を併用することにより、免疫チェックポイント阻害における相乗効果がある可能性がある

 

<目的>
・転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対するPD-L1阻害剤であるアベルマブと体幹部定位放射線治療併用の有効性と完全性を評価すること

 

<対象>
・2017年11月-2019年7月、前向き第2相試験に、1つ以上のアンドロゲン抑制療法後に増悪を認めた31例の患者を登録した
・経過観察期間(中央値)18.0ヶ月

 

<治療介入>
アベルマブ 10 mg/kgを2週ごと、24週間(12サイクル)静脈内投与を行った。アベルマブの初回および2回目投与前に、20 Gyの単回照射を1または2病変に対し照射した

 

<評価項目>
・主要評価項目:病勢制御率(DCR, disease control rate)(完全奏効/部分奏効または6ヶ月間以上の安定/非完全奏効/病勢進行なしと定義)

 

<結果>
・31例が登録、年齢(中央値)71歳、71%に対しては2つ以上の去勢抵抗性前立腺がんに対する治療歴があり、81%では>5個の遠隔転移を認めた
・病勢制御率(DCR):48%(15/31例, 95% CI 30-67%)
・客観的奏効率(ORR):31%(5/16例, 95% CI 11-59%)
・照射が行われていない病変の客観的奏効率:33%(4/12例、95% CI 10-65%)
・画像的無増悪生存期間(中央値)8.4ヶ月(95% CI 4.5-未到達)
・全生存期間(中央値)14.1ヶ月(95% CI 8.9-未到達)
・治療関連有害イベント(Grade 3-4)を6例(16%)に認め、3例(10%)ではステロイド治療を要した
血漿中のアンドロゲン受容体にalterationが認められた患者では、病勢制御率が不良であった(22% vs. 71%, p=0.13; Fisher’s exact test)

 

<結論>
・治療抵抗性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対するアベルマブと体幹部定位放射線治療の併用の有効性は有望で、毒性は許容範囲のものであった
・今後さらなる研究が必要

 

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