とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

【COSINR study】IV期非小細胞肺がん 体幹部定位放射線治療とニボルマブ/イピリムマブの併用療法の安全性

Bestvina CM, et al. J Thorac Oncol. 2021. PMID: 34500113
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34500113/

 

・IV期非小細胞肺がんに対するニボルマブ/イピリムマブと体幹部定位放射線治療
・同時併用と逐次併用
・第1相試験(COSINR study)、米国

 

<背景>
・これまで少数転移(オリゴ転移)を有する非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)の研究がなされ、抗PD-L1単剤併用を併用する集学的治療の検討もなされた
・免疫療法と体幹部定位放射線治療の併用タイミング、dual checkpoint blockadeとの安全性、多数の転移のある患者に対する施行に関しては依然疑問が残っている
・今回のランダム化第1相試験では、ニボルマブ/イピリムマブによる免疫療法と複数の病変に対する体幹部定位放射線治療を逐次併用または同時併用を行い、安全性を評価し早期の有効性データを得た

 

<方法>
・治療歴のない遠隔転移を有する非小細胞肺がん患者を、同時併用群(体幹部定位放射線治療と免疫療法を同時併用)と逐次併用群(体幹部定位放射線治療後に免疫療法を施行)にランダム化した
・最大4病変に対し体幹部定位放射線治療を施行した
ニボルマブ/イピリムマブによる免疫療法を、病勢進行、毒性発現または2年間継続した
・用量制限毒性(DLT, dose-limiting toxicity)を体幹部定位放射線治療または免疫療法3ヶ月以内の完全した臓器システムのGrade 3以上の毒性と定義した

 

<結果>
・合計37例を評価した
・同時併用群(18例)では用量制限毒性の発現を認めなかった
・中枢肺群において、2例にGrade 4肺臓炎が2/19例に認められ、減量を要した
・Best response: 完全奏効 5.4%(2/37例)、部分奏効 40.5%(15/37例)、安定 16.2%(6/37例)、病勢進行 37.8%(14/37例)
・経過観察期間(中央値)17.0ヶ月、無増悪生存期間(中央値)5.8ヶ月(95% CI 3.6-11.4)
・全生存期間(中央値):未到達

 

<結論>
ニボルマブ/イピリムマブと体幹部定位放射線治療の逐次併用と比較して、同時併用の毒性は強くなく、複数の転移に対する体幹部定位放射線治療の忍容性は良好であった。
・集学的治療により遠隔転移の長期制御が得られ、早期の全生存成績は有望な結果であった。

 

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