とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

局所進行/リンパ節転移陽性前立腺がん 高線量率小線源治療と外照射の併用

Makino T, et al. Int J Clin Oncol. 2021. PMID: 34494172
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34494172/

 

・局所進行/リンパ節転移陽性前立腺がんに対する外照射と高線量率小線源治療の併用
・後ろ向き研究、日本

 

<背景>
・局所進行前立腺がんに対する標準治療は確立されていない
・今回の研究では、臨床的進行 および/あるいは リンパ節転移陽性 前立腺がんに対し、外照射(EBRT, external beam radiotherapy)と高線量率小線源治療(HDR-BT, high-dose-rate brachytherapy)の併用が行われた患者の治療成績と毒性の評価を行った

 

<対象と方法>
前立腺がんに対し外照射と高線量率小線源治療の併用が行われ、2年以上経過観察された152例の治療成績と毒性の評価を行った
・高線量率小線源治療:19 Gy/2回 および 13 Gy/1回;いずれも外照射(46 Gy/23回)を併用した
・超高リスクの患者では、長期のアンドロゲン抑制療法(ホルモン療法)の併用を行った

 

<結果>
・経過観察期間(中央値)59.7ヵ月(24.4-182.1ヵ月)
・5年前立腺がん特異的生存率:99.0%、無再発生存率:91.8%
前立腺がんに伴い死亡したのは2例のみであった
放射線治療前のPSA値が0.5 ng/mLを超える患者(77.1%, p=0.008)、リンパ節転移陽性(68.1%, p=0.017)で5年無再発生存が不良であった
・多変量解析にて、放射線治療前のPSA値(HR 4.68, p=0.012)、リンパ節転移陽性(HR 4.70, p=0.022)が独立した再発の予測因子であった
・5年累積毒性(Grade 2+)発生率:生殖器泌尿器毒性 15.4%、消化管毒性 1.3%

 

<結論>
・臨床的に局所進行およびリンパ節転移陽性前立腺がんに対する、高線量率小線源治療、外照射および長期のアンドロゲン抑制療法後の病勢制御は有望で、毒性は忍容できるものであった

 

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