とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

胃がん/食道胃接合部がん 術前化学放射線療法 vs. 術後化学放射線療法

Kim DW, et al. Ann Surg Oncol. 2021. PMID: 34480285
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34480285/

 

胃がん/食道胃接合部がんに対する周術期化学放射線治療;術前化学放射線療法 vs. 術後化学放射線療法
・遡及的研究、米国

 

<背景>
・限局性胃がんに対する化学放射線療法の適切な施行時期に関しては不明です
・今回の研究の目的は、胃がん/食道胃接合部がんに対し術前化学放射線療法または術後化学放射線療法が施行された患者の生存成績を比較することです

 

<方法>
・後ろ向き研究
・2005-2017年に、術前化学放射線療法または術後化学放射線療法+根治的外科的手術が行われた152例を解析した
胃がん(42%)、食道胃接合部がん(58%)であった
・主要評価項目:全生存

 

<結果>
・経過観察期間(中央値)37.5ヶ月
・術前化学放射線療法が102例(67%)、術後化学放射線療法が50例(33%)に対し行われていた
・術前化学放射線治療群に男性、食道胃接合部がん、リンパ節転移陽性、進行臨床病期の患者が多かった
・照射線量(中央値):術前化学放射線療法 50.4 Gy、術後化学放射線療法 45.0 Gy(p<0.001)
・術前化学放射線療法群において、病理学的完全奏効率:26%
・術後化学放射線療法群と比較して、術前化学放射線療法群でR0切除率が高かった(95% vs. 76%, p=0.002)
・術後化学放射線療法と比較して、術前化学放射線療法でGrade 3+毒性の発生率が低かった(10% vs. 54%, p<0.001)
・全生存の多変量解析:術前化学放射線療法(vs. 術後化学放射線療法)(HR 0.57, 95% CI 0.36-0.91, p=0.020)、R0切除(HR 0.50, 95% CI 0.27-0.90, p=0.021)が独立した予後因子であった

 

<結論>
胃がん/食道胃接合部がんに対する術後化学放射線療法と比較して、術前化学放射線療法で全生存が良好で、R0切除率が高く、治療関連毒性の発生が低かった
胃がん/食道胃接合部がんに対する治療において、術後化学放射線療法と比較して、術前化学放射線療法が優れる様子

 

<関連>

radiatpost.info

とある放射線治療医の備忘目録