とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

早期子宮がん肉腫 適切な術後補助療法は??

Guttmann DM, et al. Int J Gynecol Cancer. 2016. PMID: 26509850
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26509850/

 

・早期子宮がん肉腫患者に対する術後補助療法の生存成績への影響
・多施設共同遡及的研究、米国

 

<目的>
・I-II期 子宮がん肉腫に対する手術後の術後補助療法が生存成績へ与える影響を評価すること

 

<方法>
・1999-2014年、4施設で治療されたI-II期(FIGO 2009)子宮がん肉腫患者に対し子宮摘出術が施行された118例を遡及的に解析した

 

<結果>
・経過観察期間(中央値)28ヶ月(1-244ヶ月)
・リンパ節郭清が94例(80%)に対し行われていた
・術後の治療方針は、経過観察 37例(31%)、化学療法単独 19例(16%)、放射線治療単独 24例(20%)、化学放射線療法の併用 38例(32%)であった
放射線治療の方法は、膣小線源治療 22例、骨盤照射 21例、膣小線源治療と骨盤照射の併用 19例であった
・58%の女性では化学療法はカルボプラチン/パクリタキセルであった
・全体の全生存期間(中央値)97ヶ月
・(単変量解析)術後治療群で全生存が良好(HR 0.74, p=0.02)で、膣の再発(HR 0.55, p=0.004)、何らかの再発(HR 0.70, p=0.01)が少なかった
・Pairwise comparison;他の術後治療と比較して、化学放射線療法が行われた患者の治療成績が良好であった
・さらに、多変量解析において、リンパ節郭清と良好な全生存との関連が認められた(HR 0.24, p=0.003)
・術後に経過観察が行われた患者で再発をきたした患者において、8/18例(44%)に膣からの単独再発が認められた
・一方、膣小線源治療が行われた患者では、膣からの再発は少なかった(1/42例、2.3%, p<0.003)

 

<結論>
・早期子宮がん肉腫患者において、化学療法および放射線治療が行われた患者で生存成績が良好であった
膣からの再発リスクが高いことから、術後治療に膣小線源治療の役割が示唆された

 

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