とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

頭蓋外の肺がん少数転移に対する体幹部定位放射線治療

Kissel M, et al. BMC Cancer. 2019. PMID: 31856742
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31856742/

 

・肺がん 少数転移/少数再発/少数残存/少数進行病変に対する体幹部定位放射線治療
・後ろ向き研究、フランス

 

<背景>
・手術不能なI期肺がんや少数の脳転移に対しては定位放射線治療(SRT, stereotacitic radiotherapy)が標準治療となっている
・しかしながら、頭蓋外の少数転移に対する定位放射線治療に関しては議論がある
・頭蓋外の少数転移/少数再発/少数残存/少数進行病変(oligometastatic spectrum)に対し体幹部定位放射線治療(±全身治療)が行われた患者の治療成績を評価した

 

<方法>
・多施設共同後ろ向き研究、フランス
・頭蓋外転移(1-5病変)に対し体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)を施行した患者の治療成績を解析した

 

<結果>
・91例(99転移病変)、年齢中央値 63歳、腺がん 64.8%、molecular alterations 19.8%
・少数転移 11%、少数再発 49.5%、少数残存 19.8%、少数進行 19.8%であった
体幹部定位放射線治療開始時、36%の患者では全身療法が行われており、これらの患者のうち58%の患者で全身療法が中断された
・経過観察期間(中央値)15.3ヶ月
・照射病変の粗局所制御率:91%
・遠隔無増悪生存期間(中央値)6.3ヶ月、全生存期間(中央値)28.4ヶ月、2年生存率 54%
・多変量解析に、リンパ節病期およびoligometastatic spectrumが遠隔無増悪生存の予後因子で、年齢、原発巣の病期 および oligometastatic spectrumが生存成績の予後因子であった
・Oncogene-addicted tumorにより多くの少数進行病変が認められた
・少数再発に対する再度の根治的照射が80%の患者に対し行われた
・急性期毒性が5.5%で認められ、晩期に毒性に伴う死亡が1例に認められた

 

<結論>
・Oligometastatic spectrumが頭蓋外の転移に対し体幹部定位放射線治療を行った患者の強い予後因子であった
・生存期間(中央値)は2年を超えていたが、遠隔無増悪生存はおよそ6ヶ月であった
・少数進行の患者では、全身療法の継続を今後調査する必要がある

 

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