とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

早期肺がんに対する体幹部定位放射線治療 単回照射の有効性と安全性

Videtic GMM, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2021. PMID: 34048817
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34048817/

 

・医学的に外科手術不能な早期肺がんに対する単回照射による体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)
・後ろ向き研究、米国

 

<目的>
・医学的に手術不能な末梢型早期肺がんに対する単回照射による体幹部定位放射線治療をレビューすること
・対象:2019年12月までの前向きデータベースにて、単回照射による体幹部定位放射線治療が施行され、6か月以上の経過観察が行われた患者を対象とした
体幹部定位放射線治療:30 Gy/1回 または 34 Gy/1回
・局所再発、全生存、治療関連毒性(CTCAE ver 3.0)を評価した

 

<結果>
・229例が今回の研究のクライテリアに合致した
・女性(55%)、年齢(中央値)74.6歳(47-94歳)、Karnofsky Performance Status(中央値)80
・腫瘍径(中央値)1.6 cm(範囲 0.7-4.1)、FDG SUV max(中央値)6.1(範囲 0.8-24.3)、63.6%の患者に対し生検が行われていた
・単回照射の線量:34 Gy 72.1%、30 Gy 27.9%
・経過観察期間(中央値):30 Gy群 36.7ヵ月、34 Gy群 17.2ヵ月(p<0.0001)
・解析時点にて、55.9%の患者が生存していた
・2例(0.9%)に Grade 3毒性の発生を認め、Grade 4-5毒性の発生は認められなかった
・肺臓炎(Grade 1-2)が7%、胸壁毒性(Grade 1-2)が12.7%の患者に認められた
・全生存期間(中央値)44.1ヵ月
・2年局所再発率 7.3%、リンパ節再発率 9.4%、遠隔転移再発率 12.2%
・線量(34 Gy vs. 30 Gy)による治療成績差を認めなかった

 

<結論>
・今回の解析結果では、報告されている2つのランダム化試験のものと同等で、このスケジュールを日常診療での使用が確認された

 

<関連>

とある放射線治療医の備忘目録

radiatpost.info