とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

悪性黒色腫(メラノーマ)脳転移に対する局所治療

Dalmasso C, et al. Cancers (Basel). 2021. PMID: 34503304
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34503304/

 

悪性黒色腫(メラノーマ)脳転移 免疫療法およびBRAF阻害剤治療例における脳転移に対する局所療法
・遠隔転移を有する悪性黒色腫(メラノーマ)では脳転移を発生するリスクが高い
・頭蓋内の病変制御は生存性の予後因子ではあるものの、最近の新たな免疫療法やBRAF阻害剤治療施行例における、頭蓋内病変に対する局所治療(手術 および/あるいは 放射線治療)の予後への影響は依然不明です。

 

<目的>
・免疫チェックポイント阻害剤(ICIs, immune checkpoint inhibitors)やBRAF阻害剤治療例における脳転移の発生を評価し、全生存の予後因子の検討を行った。

 

<対象と方法>
・2014年5月-2017年12月、BRAF mutationの状態が判明しており、全身療法が行われた局所進行悪性黒色腫/遠隔転移をゆうする悪性黒色腫患者を後ろ向きに解析した。

 

<結果>
・106/250例(42.4%)に脳転移の発生が認められ、これらのうち64例に対し、頭蓋内病変に対する局所治療が行われていた。
・脳転移患者の全生存期間(中央値):7.8ヶ月(95% CI 5.4-10.4)
・多変量解析において、局所治療は良好な全生存と有意に関連していた(HR 0.21,p<0.001)
・頭蓋内の脳転移に局所治療が行われた患者では全生存期間(中央値)は17.3ヶ月であったのに対し、行われなかった患者では全生存期間(中央値)は3.6ヶ月であった

 

<結論>
悪性黒色腫(メラノーマ)に対し免疫チェックポイント阻害剤やBRAF阻害剤が用いられるようになっても、脳転移に対する局所治療の施行は良好な全生存と有意に関連していた。
・全身療法が導入後、脳転移が認められた場合、局所治療を用い対処するべきである。

 

 

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