とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

小細胞肺がん 上大静脈症候群に対する胸部放射線治療

Mei T, et al. Strahlenther Onkol. 2021. PMID: 33909099
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33909099/

 

・上大静脈症候群(SVC syndrome, superior vena cava syndrome)を合併した進展型小細胞肺がん(ES-SCLC, exensive-stage small cell lung cancer)に対する胸部放射線治療
・後ろ向き研究、中国

 

<目的>
・進展型小細胞肺がん患者で上大静脈症候群を合併した患者における、放射線治療のタイミングに基いた治療成績を予測するノモグラムの作成。

 

<方法>
・進展型小細胞肺がんで、上大静脈症候群を合併した175例を後ろ向きに解析し、放射線治療のタイミングにより患者のグループ化(初期治療として放射線治療+化学療法、4-6サイクルの化学療法後に放射線治療、化学療法単独)し予後を比較した。

 

<結果>
・上大静脈症候群を合併した小細胞肺がん患者の全生存:化学療法単独群 8.2ヶ月、化学療法後の地固め放射線治療群 11.7ヶ月、初期治療に放射線治療と化学療法群 14.9ヶ月(p<0.001)
・無増悪生存期間(中央値):化学療法単独群 3.3ヶ月、化学療法後に地固め放射線治療施行群 5.0ヶ月、初期治療に放射線治療と化学療法群 7.3ヶ月(p<0.001)
・多変量解析にて、年齢、性別、全身状態(ECOG PS)、転移病変の部位、治療法が独立した生存成績の予測因子であった。
・これらの因子を組み込んだノモグラムを作成したところ、C-index value:internal validation 0.765、external validation 0.7959
ROC and calibration curveにて、このモデルが正確で一貫性があることが示された。

 

<結論>
・進展型小細胞肺がんで上大静脈症候群を合併した患者において、初期治療に化学療法へ胸部放射線治療を加えることによる治療成績の改善効果が示唆された。

 

<関連>

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