とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

腎がんの転移性病変に対する定位放射線治療の有効性は?

Kothari G, et al. Acta Oncol. 2015. PMID: 25140860

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

・腎細胞がん(RCC, renal cell carcinoma)、頭蓋内、頭蓋外転移に対する(体幹部)定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)
・システマティックレビュー

 

<背景>
体幹部定位放射線治療は非侵襲的治療法で、転移を有する腎細胞がんの治療に有用かもしれない。
・本研究の目的は、遠隔転移を有する腎細胞がんに対する(体幹部)定位放射線治療の治療成績と毒性を評価すること。

 

<結果>
・148の報告を認め、頭蓋内転移を対象とした16研究、頭蓋外転移を対象とした10報告を組み入れ解析を行った。
・脳転移(頭蓋内転移)患者810例、2433病変を解析した。
・局所制御率:92%。
・全生存期間中央値は、6.7か月から25.6か月と報告されていた。
・Grade 3-4毒性発生率は0-6%であった。
・治療関連死亡率は0.6%で、すべて腫瘍内出血に伴うものであった。
・頭蓋外転移 389例、730病変を解析した。
・局所制御率:89%。
・全生存期間中央値は11.7か月から22か月と報告されていた。
・Grade 3-4毒性発生率は0-4%であった。
・治療関連死亡率は0.5%であった。

 

<結論>
・転移を有数腎細胞がん患者に対する頭蓋内病変および頭蓋外病変に対する定位放射線治療の局所制御は良好で、毒性発生率は低かった。
・標準的な保存的治療/緩和的アプローチと比較して、定位放射線治療によるベネフィットが認められるかに関しては今後ランダム化試験での確認が必要。

 

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