とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

【LAPC-1 trial】局所進行膵がんに対するFOLFIRINOX+体幹部化学放射線療法

Teriaca MA, et al. Radiother Oncol. 2021. PMID: 33217500
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33217500/

 

・局所進行膵がんに対するFOLFIRINOX療法後の体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)
・第2相試験、LAPC-1 trial、長期成績

 

<目的>
・局所進行膵がんに対するFOLFIRINOXによる化学療法後に体幹部定位放射線治療を行った第2相試験(LAPC-1 trial)の長期成績を報告する。

 

<対象と方法>
・組織学的に確認された局所進行手術不能膵がん
・導入化学療法:FOLFIRINOX、8サイクル。
・化学療法後に病勢進行を認めない患者に対し、体幹部定位放射線治療(40Gy/5回)を施行した。

 

<結果>
・LAPC-1試験において、50例が登録された
・化学療法期間中に11例に病勢進行が認められ、39例に対し化学療法後に体幹部定位放射線治療が施行された。
コホート全体における全生存割合:1年 62%、3年 10%。
・経過観察期間(中央値)13ヶ月
・全生存期間(中央値):体幹部定位放射線治療施行群 18ヶ月、非施行群 5ヶ月(p<0.001)。
・化学放射線療法後、7例に対し手術が行われ、根治切除が得られた。
・手術が行われた患者では3年全生存割合 43%、切除が行われなかった患者では3年全生存割合 6.5%(p=0.03)。
体幹部定位放射線治療期間中、4例に有害イベント(Grade 3+)の発生を認めた。

 

<結論>
・局所進行膵がんに対するFOLFIRINOX療法後の体幹部定位放射線治療後、長期生存が得られた患者がみられた。
・この治療により根治手術の可能性が向上するかもしれない。外科手術が行われた患者では、手術が行われなかった患者と比較して、生存成績が良好であった。

 

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