とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

非定型髄膜腫/退形成性髄膜腫における術後放射線治療の役割

Zhu H, et al. Cancer Med. 2019. PMID: 30680963

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

・異型性(非定型)髄膜腫、退形成性髄膜腫に対する術後(アジュバント放射線治療
・後ろ向き研究、中国

 

<背景と目的>
・高グレード髄膜腫(特に非定型髄膜腫)に対する術後放射線治療に関しては議論がある。
・今回術後放射線治療の役割に関し検討を行った。

 

<対象と方法>
・2003-2008年の期間、162例の成人高グレード髄膜腫(非定型髄膜腫 99例、退形成性髄膜腫 63例)に対する治療が行われて居た。
・117例は初期治療、45例は再発病変に対する治療であった。
・115例(70.9%)に対して、外科手術後に術後(アジュバント放射線治療が行われていた。

 

<結果>
・経過観察期間中央値 76.5ヶ月(1-42)
・新規診断退形成性髄膜腫患者において、術後放射線療法と良好な無増悪生存(p=0.001)、良好な全生存(p=0.003)との関連性が認められた。
・非定型髄膜腫では、肉眼的全摘出(GTR, gross total resection)のみが有意な予後因子であった(無増悪生存 p<0.001, 全生存 p=0.012)
・サブグループ解析において、高グレード髄膜腫で、亜全摘後の患者では放射線治療による無増悪生存(p=0.023)および全生存(p=0.013)の改善効果が認められた。
・再発性の高グレード髄膜腫患者では、放射線治療による統計学的有意な無増悪生存や全生存の改善効果を認めなかった。

 

<結論>
・新規診断退形成性髄膜腫や高グレード髄膜腫で亜全摘後の患者では、術後(アジュバント放射線治療と良好な生存成績との関連が認められた。
・しかしながら、再発性の高グレード髄膜腫患者では、放射線治療と予後との有意な関連性を認めなかった。

 

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