とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

前立腺がん 少数転移に対する体幹部定位放射線治療は実行可能か?

Siva S, et al. Eur Urol. 2018. PMID: 30227924

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

前立腺がん 少数転移(転移の個数 1-3個)の患者に対し体幹部定位放射線治療を行った。
・2年後の局所制御率は93%、39%の患者では2年間病気の進行を認めず、ホルモン療法が行われていなかった患者のうち、およそ半数はホルモン療法の開始を回避できていた。
重篤な治療に関連した有害事象の頻度は低く(Grade 3椎体骨折 3.0%)、前立腺がん オリゴ転移/少数転移に対する体幹部定位放射線治療は安全に施行可能であった。

 

前立腺がん、オリゴ転移(少数転移)に対する体幹部定位放射線治療
・前向き研究、オーストラリア

 

<背景>
前立腺がん オリゴ転移(少数転移)に対し体幹部定位放射線治療(SABR, stereotactic ablative body radiotherapy)が行われるようになてきている。
・しかしながら前向きのエビデンスに関しては限られている。

 

<目的>
前立腺がん オリゴ転移(少数転移)に対する単回照射による体幹部定位放射線治療の安全性と実行可能性を評価すること。
・副次評価項目:局所無増悪生存、遠隔無増悪生存、毒性、QOL、PSAの奏効(prostate-specific antigen response)

 

<対象と方法>
・今回の前向き研究では、CT、骨シンチ、sodium fluoride PETにて評価を行い、1-3個のオリゴ転移(少数転移)の患者を登録した。

 

<介入>
・単回照射による体幹部定位放射線治療(20 Gy)

 

<結果>
・2013-2014年、33例の患者、55少数転移病変に対し体幹部定位放射線治療が施行され、2年間経過観察された。
・年齢(中央値)70歳、グリソンスコアが8以上の患者が15例(45%)。
・骨転移のみの患者が20例、12例はリンパ節転移のみ、1例は骨転移およびリンパ節転移であった。
体幹部定位放射線治療が97%のケースに対し施行可能で行われた。
・Grade 3有害イベントが1例に認められた(3.0%, 椎体骨折)。
・死亡例は認められなかった。
・局所無増悪生存率:1年 97%、2年 93%。
・遠隔無増悪生存率:1年 58%、2年 39%。
・アンドロゲン抑制療法が行われていなかった患者22例のうち、2年アンドロゲン抑制療法回避率は48%であった。
・ベースラインからのQOLの有意な変化を認めなかった。

 

<結論>
前立腺がんのオリゴ転移/少数転移に対する単回照射による体幹部定位放射線治療は実行可能で合併症の発生率は低いものであった。
・1/3人以上で増悪が認められ、2年時点でホルモン療法を回避していた。体幹部定位放射線治療後もQOLは維持されていた。

 

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