とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

本邦における食道がん

Watanabe M, et al. Esophagus. 2021. PMID: 34550491

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

<背景>
日本食道学会(JES, Japan Esophageal Society)の the registration committee for esophageal cancerは、患者背景や治療、治療成績を毎年収集している。

 

<方法>
・2014年に来院した患者のデータ解析を行った。
・National Clinical Databaseを用いたウェブベースのデータ収集システムにより、データを収集した。
・JESによるJapanese Classification Esophgeal Cancer 10 th edition および TNM分類 UICC(Union of International Cancer Control)7th editionをがんのステージングに用いた。

 

<結果>
・本邦 344施設より、合計9026例が登録された。
・組織型は、扁平上皮がん 87.9%、腺がん 7.1%であった。
・5年生存率は、内視鏡的切除例 87.1%、同時化学放射線療法施行例 33.7%、放射線治療単独治療例 25.3%、食道切除術施行例 59.3%であった。
・食道切除術が5204例に対し施行されていた。
・食道切除術が行われた患者のうち、48.1%は胸腔鏡下に手術が行われていた。
・周術期死亡率(operative mortality)(手術後30日以内の死亡)は0.75%で、院内での死亡率は2.0%であった。
・JESシステムによる生存曲線のdiscriminatory ablityは、臨床病期、病理学的病期、いずれも良好であった。
・UICCシステムでは、鎖骨上リンパ節転移(M1 LYM)が病理学的IV期に含まれるため、病理学的病期 IV期の生存成績が IIIIC期よりも良好であった。

 

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