とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

副腎転移に対する体幹部定位放射線治療の有効性と安全性は?

Chen WC, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2020. PMID: 32001383

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

・副腎転移に対する体幹部定位放射線治療の有効性と安全性をシステマティックレビュー/メタアナリシスにより評価。
体幹部定位放射線治療後の局所制御率は1年82%、2年63%で、高線量の照射は良好な局所制御と強く関連しており、生物学的等効果線量(BED10)100Gyの照射では2年局所制御率80%以上が期待できる。
重篤な(Grade 3+)有害事象発生率は1.8%で、体幹部定位放射線治療の忍容性は良好。

 

・副腎転移に対する体幹部定位放射線治療
・システマティックレビュー/メタアナリシス。

<目的>
・副腎転移に対する体幹部定位放射線治療に関するシステマティックレビュー/メタアナリシスを行い、治療成績、治療の特徴、毒性を評価すること。

<対象と方法>
・Embase、Pubmed databaseにて、副腎転移に対する体幹部定位放射線治療に関する報告のシステマティックレビューを行った。

<結果>
・2009-2019年に報告された39研究、1,006例を解析した。
・経過観察期間(中央値)12ヶ月
・生物学的等効果線量(BED, biological equivalent dose)(BED10, alpha/beta = 10)(中央値)67 Gy
・全奏効率:54.6%(95% CI 46.5-62.5%)
・局所制御率:1年 82%(95% CI 74-88%)、2年 63%(95% CI 50-74%)
・全生存率:1年 66%(95% CI 57-74%)、2年 42%(95% CI 31-53%)
体幹部定位放射線治療の照射線量と1年および2年局所制御との強い関連が認められた。
体幹部定位放射線治療の照射線量は2年全生存率とも関連していた(p=0.03)。
・線量と局所制御の metaregressionに基づくと、1年局所制御率は、BED10 60Gy:70.5%、BED10 80Gy:84.8%、BED10 100Gy:92.9%。
・2年局所制御率は、BED10 60Gy:47.8%、BED10 80Gy:70.1%、BED10 100Gy:85.6%。
・Grade 3+毒性発生率は1.8%であった。

<結論>
・副腎転移に対する体幹部定位放射線治療後の1年局所制御率は高く、安全性は良好であった。
・線量増加は良好な局所制御と関連している様子。

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