とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

早期非小細胞肺がんに対するCyberKnifeを用いた体幹部定位放射線治療

Abe T, et al. Jpn J Clin Oncol. 2021. PMID: 34580722

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

・末梢性の早期非小細胞肺がんに対するサイバーナイフ(CyberKnife)を用いた体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)を行った患者の治療成績を評価した。
・2年局所制御率は100%、全生存率は92%で、症候性(Grade 2+)肺臓炎の発生を認めなかった。
・末梢性の早期非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療は安全で有効な治療法。

 

・病理学的に確認された早期非小細胞肺がんに対するCyberKnifeを用いた体幹部定位放射線治療
・後ろ向き研究、日本

<目的>
・末梢性の早期非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)の適切な線量分割に関しては依然不明です。
・CyberKnifeを用いた、54Gy/3回による体幹部定位放射線治療を施行した、病理学的確認されたT1b-T2aN0M0 非小細胞肺がん 26例(年齢 [中央値] 76歳)を後ろ向きに解析しました。

<方法>
・54 Gy/3回の照射を肉眼的腫瘍体積(GTV)の99%をカバーするように処方した。

<結果>
・全例、肺野末梢の病変であった。
・胸壁からの距離の平均は 6.5 mm(0-32 mm)であった。
・病理組織:腺がん 18例、扁平上皮がん 7例、非小細胞肺がん 1例
・T病期:T1b 9例、T1c 14例、T2a 3例
・経過観察期間(中央値)24ヶ月(6-54ヶ月)
・累積2年局所制御割合 100%、無増悪生存割合 70%、全生存割合 92%。
・20例に放射線肺臓炎(Grade 1)を認めたものの、Grade 2 放射線肺臓炎の発症を認めなかった。

<結論>
・病理学的に確認された T1b-T2aN0M0 非小細胞肺がんに対するCyberKnifeを用いた体幹部定位放射線治療は安全で有効であった。
・これらの結果はさらに大規模なコホート研究および前向き経過観察にて確認される必要がある。

<関連>

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