とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

胸腺がんに対する完全切除+術後放射線治療後の再発形式と再発リスク

Gao Y et al. Radiother Oncol. 2022. PMID:36481384

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov


<背景と目的>
・目的:胸腺がんに対する完全切除+術後放射線治療(PORT, postoperative radiotherapy)後の再発形式と再発のリスク因子を評価すること。


<対象と方法>
・2003年から2020年に胸腺がんに対して完全切除+術後放射線治療(PORT)が行われた127例の患者を遡及的に解析した。


<結果>
・全例で腫瘍床に対する照射が行われていた。
・経過観察期の中央値は64ヶ月。
・51例(40%)に再発が認められた。
・5年無病生存率:59%、5年全生存率:85%。
遠隔再発 32%(42例)、胸膜再発 22%(28例)、局所領域再発 15%(19例)
・局所領域再発のうち、照射野内再発が2%(3例)、辺縁部の再発が1%(1例)、照射野外の再発が7%(9例)、照射野内と照射野外の同時再発が2%(2例)、辺縁部と照射野外の再発が2%(2例)に認められ、照射野との関連が不明な患者が2%(2例)であった。
・多変量解析にて、Masaoka stage (HR 3.88, p=0.000)および アジュバント化学療法(HR 0.47, p=0.015)が無病生存の関連因子であった。


<結論>
胸腺がんに対する完全切除+術後放射線治療(PORT)後の再発は主に遠隔転移再発であった。
Masaoka stage および アジュバント化学療法が無病生存(DFS)の予測因子
局所領域再発リスクは比較的低いことから、胸腺がんに対する完全切除術後の照射範囲としては術後床のみで十分