とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

重症放射線肺臓炎後の二次肺感染症

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Mei T et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2021. PMID: 34418467
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34418467/

 

・非小細胞肺がんにおける重症放射線肺臓炎後の2次感染
・後ろ向き研究、中国

 

<目的>
・非小細胞肺がん患者の重症放射線肺臓炎後の2次感染における病原菌、およびそれらに対する抗菌薬の感受性を評価すること

 

<方法>
・2009年1月-2020年12月、胸部放射線治療後に重症放射線肺臓炎を発症した1746例を遡及的に解析した

 

<結果>
・非小細胞肺がんに対する胸部放射線治療後に重症放射線肺臓炎を発症した1746例のうち、777例(44.5%)に2次肺感染が認められた
・合計899の細菌がこれらの患者から同定され、アシネトバクター(Acinetobacter baumannii)(27%, 206/899)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia)(26.2%, 200/899)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(13.6%, 104/899)の頻度が高かった
・カルバペネム耐性率:アシネトバクター 52.7%、クレブシエラ・ニューモニエ 28.8%、緑膿菌 23.7%
・スルバクタム・/セフォペラゾン(SBP/CPZ)耐性率:アシネトバクター 32.2%、クレブシエラ・ニューモニエ 26.4%、緑膿菌 20.2%
・重症放射線肺臓炎患者のうち、感染に関連した死亡が22.4%に認められた
・感染に関連した死亡の独立したリスク因子は、全身状態不良(poor PS)、不適切な予防的抗菌薬投与、細菌と真菌の重複感染、抗真菌薬による治療非施行
ROCカーブの解析において、抗真菌薬の適切な投与期間は9日間であった(AUC = 0.819)

 

<結論>
・重症放射線肺臓炎に2次性の肺感染症を合併した患者において、適切な予防的抗菌薬による治療を行うことにより、感染に関連した死亡を減少できる可能性があり、スルバクタム/セフォペラゾン(SBT/CPZ)が適切な抗菌薬かもしれない
・9日間以上の抗真菌薬の投与により治療成績の改善が得られるかもしれない
・重症放射線肺臓炎発症後に2次肺感染症を合併した患者に対しこれらの治療は有望な治療法のようであるが、前向きな評価が必須

 

<関連>

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