とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

小数転移/オリゴ転移合併 非小細胞肺がんに対する局所地固め療法は予後を改善するか?

Gomez DR, et al. J Clin Oncol. 2019. PMID: 31067138

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

・少数転移/オリゴ転移合併 非小細胞肺がんに対する局所地固め療法 (local consolidative therapy, LCT)(放射線治療 または 手術)と維持療法/経過観察 (maintenance therapy of observation, MT/O) の比較

・第2相ランダム化試験、長期成績

 

対象と方法

・多施設共同、ランダム化第2相試験

・対象:IV期 非小細胞肺がん、遠隔転移3個以下、初期治療後3ヶ月以上増悪のない患者

・(1:1)の割合で、維持療法/経過観察群 (MT/O) と 局所地固め療法群(LCT)にランダム化を行った。

・主要評価項目:無増悪生存

・二次評価項目:全生存、毒性、新規病変の出現

 

結果:

・49例がランダム化した時点で、局所地固め療法(LCT)群の無増悪生存の明らかな改善効果が認められたため、試験の早期終了が勧告された

・中央経過観察期間 38.8ヶ月 (28.3-61.4ヶ月)

・中央無増悪生存期間:局所地固め療法群 (LCT) 14.2ヶ月 (95% CI 7.4-23.1)、維持療法/経過観察群 (MT/O) 4.4ヶ月 (95% CI 2.2-8.3) (p=0.022)

・全生存も局所地固め療法群で明らかに良好であった;中央全生存期間:局所地固め療法群(LCT)41.2ヶ月 (95% CI 18.9 to not reached)、維持療法/経過観察群 (MT/O) 17.0ヶ月 (95% CI 10.1 to 39.8ヶ月)(p=0.017)

・新たなGrade 3+毒性は観察されなかった。

・増悪後の生存成績は、局所地固め療法群(LCT)で良好であった(37.6ヶ月 vs. 9.4ヶ月, p=0.034)

・維持療法/経過観察群で、20例に増悪がみられ、9例に対しすべての増悪部位に対し局所地固め療法が施行され、中央全生存期間は17ヶ月(95% CI 7.8 to not reached)

 

結論:

・少数転移を合併している非小細胞肺がん患者で、初期治療後増悪のない患者では、維持療法/経過観察と比較して、局所地固め療法を行うことにより無増悪生存および全生存の延長効果が認められる。

 

とある放射線治療医の備忘目録(まとめ)