とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

転移性大腸がんに対する体幹部定位放射線治療

Thompson R, et al. Radiother Oncol. 2020. PMID: 31543287
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31543287/

 

・転移性大腸がん;頭蓋外病変に対する体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)の治療成績
・後ろ向き研究、カナダ

 

背景と目的>
・転移性大腸がん患者に対する頭蓋外病変への体幹部定位放射線治療の治療成績を評価すること。
・対象と方法:2008-2016年、頭蓋外病変に対して体幹部定位放射線治療を施行した転移性大腸がん患者を同定した。
・治療適応:少数転移(oligometastases)、少数増悪(oligoprogression)、主要病変に対する局所制御(local control of dominant tumors)
・評価項目:局所増悪、全生存、無増悪生存、累積全身療法開始/変更率(cumulative incidence of starting or changing systemic therapy)

 

<結果>
・165例(262病変)を解析した。
・2年累積局所増悪率:23.8%。
・多変量解析にて、体幹部定位放射線治療の照射線量が少ないこと、肝転移が局所増悪の予測因子であった。
・全生存期間(中央値):少数転移 49.3ヶ月、少数増悪 19.3ヶ月、主要病変に対する局所制御目的 9.0ヶ月。
原発腫瘍が in situでないこと、小さな腫瘍、化学療法歴が少ないこと、CEA値が低いこと、少数転移に対する照射が全生存の有意な予測因子であった。
コホート全体の無増悪生存期間(中央値)9.9ヶ月で、少数転移患者群では12.4ヶ月であった。
・2年累積全身療法の開始/変更率は41.7%であった。

 

<結論>
・転移性大腸がん患者において、体幹部定位放射線治療後の生存成績は良好なものであった。
・一定の患者では体幹部定位放射線治療後に全身療法の変更を要しなかった。
・局所制御を得るためには高線量の照射が必要であった。
・肝転移では局所再発率が高く、体幹部定位放射線治療の最適化が必要。

 

<関連>

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