とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

悪性黒色腫(メラノーマ)脳転移に対する定位放射線治療/定位手術的照射と免疫チェックポイント阻害剤の同時併用

Minniti G, et al. J Immunother Cancer. 2019. PMID: 30975225
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30975225/

 

悪性黒色腫(メラノーマ)脳転移に対する定位放射線治療/定位手術的照射とニボルマブ/イピリムマブ併用
・後ろ向き研究、イタリア

 

<目的>
悪性黒色腫(メラノーマ)脳転移に対する定位手術的照射とイピリムマブ/ニボルマブ同時併用の有効性と安全性を調査すること。
・対象と方法:イピリムマブ/ニボルマブと定位手術的照射の同時併用が行われた80例、脳転移326病変を後ろ向きに同定し評価を行った。
・定位手術的照射の1週以内にイピリムマブ/ニボルマブの投与が行われた。
ニボルマブは3 mg/kg, 2週毎、イピリムマブは 10 mg/kg, 3週毎の投与、その後10 mg/kg, 12週毎、病勢進行や許容不能は毒性発現まで投与継続された。
・主要評価項目:頭蓋内無増悪生存(intracranial progression-free survival)

 

<結果>
・80例の解析を行った
・45例に対してはイピリムマブと定位手術的照射、35例に対してはニボルマブと定位手術的照射の同時併用が行われていた。
・経過観察期間(中央値):15ヶ月
・頭蓋内無増悪生存率(ニボルマブ群):6ヶ月 69%、12ヶ月 42%
・頭蓋内無増悪生存率(イピリムマブ群):6ヶ月 48%、12ヶ月 17%
・頭蓋内無増悪生存率は、イピリムマブ併用と比較して、ニボルマブ併用群で良好であった(p=0.02)
ニボルマブ群;12ヶ月頭蓋外無増悪生存率 37%、全生存率 78%
・イピリムマブ群;12ヶ月頭蓋外無増悪生存率 17%、全生存率 68%
・サブグループ解析において、単回照射が行われた患者と比較して、3分割での照射(27 Gy/3回)が行われた患者で頭蓋内無増悪生存率が良好であった(6ヶ月 70% vs. 46%, p=0.01)で、特にニボルマブの併用が行われた患者群で差が大きかった
・治療関連有害イベント(Grade 3):イピリムマブ群 11例(24%)、ニボルマブ群 6例(17%)
放射線治療に伴う脳壊死が15%の患者に認められた。

 

<結論>
悪性黒色腫(メラノーマ)の症候性/無症候性脳転移に対する定位放射線治療/定位手術的照射とイピリムマブやニボルマブの同時併用により、一定の患者で放射線性脳壊死が認められたものの、頭蓋内病変制御において有効性が示された。
ニボルマブと定位放射線治療との併用で頭蓋内の病変制御が良好であった。

 

 

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