とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

乳がん、脳転移、転移個数

 


 

Kim JS et al. Breast Cancer Res Treat. 2023. PMID: 37138198

Comparison of initial and sequential salvage brain-directed treatment in patients with 1-4 vs. 5-10 brain metastases from breast cancer (KROG 16-12)

 

乳がんの脳転移の個数(1-4個 vs. 5-10個)による予後と治療法の違い

・KROG 16-12、韓国

・対象:2008年-2014年、1-10個の脳転移と診断された471例

・脳転移の個数により2群(1-4個 337例、5-10個 134例)に分けて比較

・経過観察期間の中央値:14ヶ月

・1-4個の脳転移では、定位手術的照射(SRS)/ 分割定位照射(SRT)により治療が行われた患者が多かった(36%)

・5-10個の脳転移の患者では全脳照射で治療された患者が多かった(80%)

・全生存期間の中央値は、コホート全体:18.0ヶ月、1-4個:20.9ヶ月、5-10個:13.9ヶ月

・脳転移の個数や照射法(全脳照射)と全生存との有意な相関なし

・一方で、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)や頭蓋外に転移を認める場合には予後が不良

・照射法の決定に影響を与える因子は、脳転移の個数や部位、原発巣の制御、全身状態