とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

間質性肺炎を合併した早期肺がんに対する炭素イオン線治療

Okano N, et al. Cancers (Basel). 2021. PMID: 34439358
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34439358/

 

・間質性肺疾患を合併しているI期非小細胞肺がんに対する炭素イオン線治療

 

・間質性肺疾患(ILD, interstitial lung disease)は肺がん発生のリスク因子であるとともに治療不成功のリスク因子でもある
・今回の遡及的研究では124例(これらのうち26例 [21%] には画像的な間質性肺疾患の初見が認められた)のI期非小細胞肺がんに対する炭素イオン線治療を解析を行った
・間質性肺疾患の診断は、呼吸器科医によるCT画像の後ろ向きレビューより行った

 

<結果>
・98例は間質性肺疾患の合併なし、26例(21%)は間質性肺疾患合併ありと判断された
・治療前のKL-6値に両群間に有意な差異が認められた
・間質性肺疾患合併なし;3年全生存率 83.2%、3年疾患特異的生存率 90.7%
・間質性肺疾患合併あり;3年全生存率 59.7%、3年疾患特異的生存率 59.7%
・両群間に全生存(p=0.002)、疾患特異的生存(p<0.001)に有意差が認められた
放射線肺臓炎(Gr2+)発生率:間質性肺疾患合併なし 3.0%、間質性肺疾患合併あり 7.6%(p=0.29)
・間質性肺疾患合併ありの群において、急性増悪を認めなかった

 

<結論>
・I期非小細胞肺がんに対する炭素イオン線治療は、間質性肺疾患合併のない患者と同様、間質性肺疾患を合併した患者においても安全に施行可能であった
・臨床的なI期肺がんに対する炭素イオン線治療施行例において、間質性肺疾患の合併は予後不良因子であった

 

 

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