とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

限局型小細胞肺がんに対する加速化分割照射による化学放射線療法;標準線量 vs. 高線量

Grønberg BH et al. Lancet Oncol. 2021. PMID: 33662285

 

・限局型小細胞肺がんに対する加速過分割照射による化学放射線療法;60Gy/40回 vs. 45Gy/30回

 

<対象と方法>
・第2相ランダム化試験、ノルウェー/デンマーク/スウェーデン(2014-2018年)
・対象:18歳以上、治療歴のない限局型小細胞肺がん、ECOG PS 0-2、RECIST version 1.1 評価可能病変あり
・化学療法:シスプラチン 75 mg/m2 または カルボプラチン AUC 5-6 on day 1、エトポシド 100 mg/m2 on days 1-3、3週ごと、4コース
・(1:1)の割合にて高線量群 (60Gy/40回)と 標準線量群(45Gy/30回)にランダム化
・照射範囲:肺の原発巣とFDG-PET陽性リンパ節転移
放射線治療の開始:化学療法第1コース開始から20-28日後より放射線治療開始
・化学放射線療法奏功例に対しては、予防的的全脳照射(25-30Gy)を提案
・主要評価項目:2年全生存

 

<結果>
・176例が登録、170例がランダム化;60Gy 89例、45Gy 81例
・経過観察期間(中央値)49ヶ月
・2年時点で、60Gy群 66例、45Gy群 39例が生存(OR 3.09, 95% CI 1.62-5.89, p=0.0005)
・主なGrade 3-4有害イベント:好中球減少(81% vs. 81%)、好中球減少を伴う感染(27% vs. 39%)、血小板減少(24% vs. 25%)、貧血(14% vs. 20%)、食道炎(21% vs. 18%)
・高度の有害イベント:60Gy群 38例、55イベント;45Gy群 44例 56イベント
・各群3例に治療関連死亡を認めた(60Gy群 好中球減少性発熱 1例、大動脈解離 1例、肺臓炎 1例;45Gy群 血小板減少を伴う出血 1例、脳梗塞 1例、心筋梗塞 1例)

<結論>
限局型小細胞肺がんに対する1日2回照射による化学放射線療法において、標準的な45Gy/30回の照射と比較して、高線量照射(60Gy/40回)後の生存成績が良好であった

 

 

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