とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

高齢者(80歳以上)食道がんに対する(化学)放射線治療

Takahashi N, et al. Esophagus. 2021. PMID: 34476633
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34476633/

 

・80歳以上の高齢者食道がん患者に対する根治的(化学)放射線療法
・後ろ向き研究、日本

 

<目的>
・世界的に高齢化が急速に進行してきている。
・今回の研究の目的は80歳以上の高齢者食道癌に対する放射線治療施行例の全生存および無増悪生存の予後因子を同定すること

 

<方法>
・2004年から2015年の期間に食道がんに対し放射線治療を施行した80歳以上の患者を遡及的に解析した

 

<結果>
・92例を組み入れ解析を行った
・35例に対しては化学放射線療法が行われていた
・経過観察期間(中央値)19.0ヶ月
・3年全生存率:44.7%、3年無増悪生存率 28.4%
・(多変量解析)臨床病期(HR 2.28, p=0.01)、genetric nutritional risk index(GNRI)(HR 0.95, p<0.001)が全生存の有意な予後因子であった
・臨床病期(HR 2.06, p=0.001)、腫瘍局在(HR 2.04, p<0.001)および GNRI(HR 0.96, p=0.03)が有意な無増悪生存の予後因子であった

 

<結論>
・臨床病期とGNRI(genetric nutritional risk index)が全生存および無増悪生存の予後因子であった
・腫瘍の部位が無増悪生存の有意な予後因子であった
・高齢者食道がん患者において、これらの予後因子は意思決定に有用かもしれない

 

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