とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

子宮がん肉腫に対する術後放射線治療は有効??

Squires BS, et al. Int J Clin Oncol. 2021. PMID: 34427803
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34427803/

 

・子宮癌肉腫(uterine carcinosarcoma)に対する術後放射線療法

 

<背景>
・子宮癌肉腫では手術後の再発リスクが高く、いずれの病期においても通常術後化学療法が行われる
・術後化学療法が行われた場合、子宮癌肉腫に対し放射線治療を追加することによるベネフィットは不明です
・子宮癌肉腫に対する手術および術後化学療法が施行された患者において、放射線治療を追加することにより全生存を改善するかに関し、SEER(Surveillance Epidemiology, and End Results)databaseの解析を行った

 

<方法>
・SEER 18 Data registriesに登録されている子宮癌肉腫のデータを抽出
・I-III期子宮癌肉腫に対し、手術、化学療法、±放射線治療が行われた患者を解析した

 

<結果>
・1988-2016年、1541例に対し手術および化学療法が行われていた
・これらの患者のうち、54%に対し放射線治療が行われていた
・単変量解析において、放射線治療が行われた患者で全生存が良好であった
放射線治療非施行群 vs. 施行群:全生存期間(中央値)46ヶ月 vs. 65ヶ月、5年全生存率 46% vs. 53%(HR 0.74, 95% CI 0.63-0.87, p<0.001)
・(unadjusted/adjusted)多変量解析、conditional landmark analysis、いずれにおいても放射線治療によるベネフィットが確認された

 

<結論>
・I-III期の子宮癌肉腫で手術および化学療法が行われた患者において、放射線治療の施行と良好な全生存との関連性が認められた
・子宮癌肉腫に対する放射線治療のベネフィットの確認のためさらなる前向き研究が必要

 

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