とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

肛門がんにおけるヒトパピローマウイルス

Obermueller T, et al. Eur J Cancer. 2021. PMID: 34517306
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34517306/

 

・肛門がんにおけるヒトパピローマウイルス
・Individual patient dataを用いたメタアナリシス

 

<背景>
・High-risk human papilloma virus(hrHPV)は肛門扁平上皮がんの多くの原因となっている。
・いくつかの報告では、ヒトパピローマウイルス(HPV)に関連するマーカー(特にhrHPV DNA および p16 INJ4a [p16])が予後因子であることが示唆されている。
・しかしながら、比較的少数のコホートのため予後因子候補としての評価が不十分で、それぞれの研究では生存成績のデータは不均一なものであった。
・今回、Individual patient data(IPD)を用いたメタアナリシスを行い、肛門扁平上皮がんにおける予後因子としてのhrHPV DNA および p16の評価を行った。

 

<対象と方法>
・肛門扁平上皮がん患者で、p16単独 または p16とhrHPV DNAの組み合わせと生存成績を報告している研究を系統的に検索を行った。
・適格基準を満たす可能性のある研究の著者に、臨床および腫瘍に関連したIPDの問い合わせを行った。

 

<結果>
・7研究、693例の肛門扁平上皮がんをメタアナリシスに組み入れた。
・76%の患者ではp16+/hrHPV DNA+であった。
・11%の患者では、p16、hrHPV DNA いずれも陰性であった。
・マーカーの不一致が13%に認められた。
・p16-/hrHPV DNA-の腫瘍と比較して、p16+/hrHPV DNA+の腫瘍では全生存が有意に良好であった(pooled adjusted HR 0.26, 95% CI 0.14-0.50)
・3年全生存率:86%(95% CI 82-90)vs. 39%(95% CI 24-54)
・p16 と hrHPV DNAに不一致が認められた患者群の3年全生存率は中等度のものであった(p16+/hrHPV DNA- 75%、p16-/hrHPV DNA+ 55%)

 

<結論>
・肛門扁平上皮がん患者において、p16-/hrHPV DNA-腫瘍と比較して、p16+/hrHPV DNA+腫瘍では生存成績が有意に良好であった。

 

<関連>

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