とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

非定型/異型性髄膜腫に対する肉眼的全摘後 術後補助放射線治療 vs. 経過観察

Chun SW, et al. Radiat Oncol. 2021. PMID: 33596974

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

・非定型/異型性髄膜腫(AM, atypical meningioma)に対する肉眼的全摘後(GTR, gross total resection)
・術後補助放射線治療 vs. 経過観察
・メタアナリシス

 

<背景>
・非定型/異型性髄膜腫に対する肉眼的全摘出術後の術後放射線治療による影響は、研究により異なる結果が示されており、依然として不明です。
・今回の研究の目的は観察研究のメタアナリシスのアップデートを行い、術後放射線治療施行例と経過観察例の肉眼的全摘後の局所再発と生存成績を比較し評価することです。

 

<方法>
PubMed, Embase, Web of Scienceにて、術後放射線治療と経過観察後の治療成績を報告している研究の検索を行った
・評価項目:局所再発率、無増悪生存率(PFS, progression-free survival)、全生存率(OS, overall survival)

 

<結果>
・30研究、2904例を組み入れ解析を行った(術後補助放射線治療施行例 737例、経過観察例 2167例)
・経過観察と比較して、術後補助放射線治療による局所再発の減少効果が認められた(odds ratio, 0.50, 95% CI 0.36-0.68, p<0.0001)
・Pooled hazard ratiosにより、1年、3年、5年無増悪生存が術後放射線治療施行例で良好であることが示された。
・全生存は術後補助放射線治療例と経過観察例に有意な差異を認めなかった。
・術後放射線治療に伴う毒性の多くは忍容可能なGrade 1-2のものであった。
・Grade 5毒性の発生を認めなかった。

 

<結論>
・非定型/異型性髄膜腫に対する肉眼的全摘後、経過観察と比較して、術後放射線治療を行うことにより局所再発を減少させ、無増悪生存を改善させることが示唆された。

 

<関連>

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