とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

肉腫に対する術前化学放射線療法;パゾパニブの追加によりpathological near complete responseは改善するか?

ARST1321

小児/成人 intermediate-grade / high-grade 軟部組織肉腫に対する化学放射線療法;パゾパニブの追加

 

・Children’s Oncology Group and NRG Oncology

・ランダム化第2相試験

 

・対象:成人(18歳以上) および 小児 (2歳から18歳未満), 切除不能, 新規診断, 体幹部/四肢軟部組織肉腫, 化学療法歴なし, 外科的切除歴なし, >5cm, intermediate-grade/high-grade, 16歳以下; Lansky / >16歳; Karnofsky PS score 70以上

・化学療法:ifosfamide (2.5 g/m2 perdose i.v on days 1-3 with mesna), doxorubicin (37.5 mg/m2 per dose i.v on days 1-2)

放射線治療:45Gy

・化学放射線療法後, 第13週に外科的切除を施行

・(1:1)の割合にて, 経口的パゾパニブ投与群(<18歳 350 mg/m2/day, 18歳以上 600 mg/day) と 非投与群にランダム化

・第13週の手術前後はパゾパニブ投与中止

 

・81例(2014-2018年)がランダム化;パゾパニブ群 42例, コントロール群 39例

・2回めの中間解析の時点 (評価可能例 42例)で, 中央経過観察期間 パゾパニブ群 0.8年, コントロール群 1年

・90%以上の病理学的奏効率:パゾパニブ群 58% (14/24例), コントロール群 22% (4/18例);群間の差 36.1% (83.8% CI 16.5-55.8);試験は早期中止

・主な Grade 3/4有害イベント:

 ・パゾパニブ群;白血球減少 43%, 好中球減少 41%, 発熱性好中球減少症 41%

 ・コントロール群;好中球減少 9%, 発熱性好中球減少症 9%

・パゾパニブ群;22/57例 (59%)にパゾパニブ関連性の重篤な有害イベント

・小児と成人の比較;Grade 3/4毒性の発生頻度は同様

・7例が死亡(パゾパニブ群 3例, コントロール群 4例);治療関連死亡なし

 

知見:肉腫に対する術前化学放射線療法への, パゾパニブを追加は, pathological near complete response の割合を上昇させる

 

Lancet Oncol. 2020;21:1110-1122. 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov