とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

早期非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療 単回照射 vs. 分割照射

Ma SJ, et al. Clin Lung Cancer. 2018. PMID: 29153897
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29153897/

 

・末梢型早期非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)
・1回照射 vs. 3分割照射
・後ろ向き研究、米国

 

背景>
・8年間に早期非小細胞肺がんに対し1回照射または3分割照射により体幹部定位放射線治療が行われた患者の臨床成績の比較を行った

 

<対象と方法>
・2007年2月-2015年11月、末梢型限局性早期非小細胞肺がんに対し体幹部定位放射線治療が行われた患者を組み入れた
体幹部定位放射線治療は不均質補正を行わず施行されていた

 

<結果>
・159の肺腫瘍のうち、65病変に対しては30 Gy/1回(中央値 30 Gy)の照射、94病変に対しては48-60 Gy/3回(中央値 60 Gy)の照射が行われていた
・単回照射群に、全身状態が良くない(Karnofsky performance status <80)の患者が多かった(p=0.050)
・経過観察期間(中央値):単回照射群 22.2ヵ月、3分割照射群 26.2ヵ月
・24か月時点での全生存(p=0.86)、無増悪生存(p=0.95)、局所再発(p=0.95)、リンパ節再発(p=0.91)、遠隔再発(p=0.49)に有意な違いを認めなかった
・(単回照射 vs. 3分割照射)1年全生存率 86.1% vs. 80.8%、2年全生存率 63.2% vs. 61.6%
・(単回照射 vs. 3分割照射)1年局所制御率 95.1% vs. 92.7%、2年局所制御率 87.8% vs. 86.2%
・単回照射、3分割照射、いずれも忍容性は良好であった

 

<結論>
・単回照射群に全身状態が不良な患者が多く認められたものの、単回照射と3分割照射の比較において、臨床成績に差異を認めなかった
・現在われわれの施設では単回照射が標準的な方法となっている

 

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