とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

局所進行非小細胞肺がんに対する同時化学陽子線治療 第2相試験

Iwata H, et al. Int J Radiat Oncol. 2021. PMID: 33227444

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

・切除不能III期非小細胞肺がん
・Adaptive planningを用いた同時化学陽子線治療
・第2相試験、日本

 

目的>
・切除不能III期非小細胞肺がんに対する、adaptive planningを用いた同時化学陽子線治療の有効性と安全性を前向きに評価すること。
・対象と方法:主要評価項目:全生存(OS, overall survival)。
・副次評価項目:局所制御率(LCR, local control rate)、無増悪生存(PFS, progression-free survival)、Grade 3+有害イベントの発生率、QOLの変化。
・化学療法:シスプラチン(60 mg/m2)on day 1、S-1 (~40 mg/m2、1日2回)on days 1-14、4週ごと、4サイクルまで
・陽子線治療:1回 2 GyE、原発巣に対し 70 GyRBE、リンパ節転移に対し 66 GyEまで照射。
・陽子線治療は呼吸同期および画像誘導下に行い、adaptive planを行った。

 

<結果>
・2013年8月-2018年8月、47例が登録。
・34例で4サイクルのシスプラチン/S-1化学療法を完遂した。
・化学療法の平均サイクル数:4(1-4)。
・経過観察期間中央値:全体 37ヶ月(4-84)、生存例 52ヶ月(26-84)。
・再計画の施行回数平均:2.5回(1-4)。
・全生存割合:2年 77%(95% CI 64-89)、5年 59%(43-76)
・局所制御率:2年 84%(95% CI 73-95)、5年 61%(44-78)
・無増悪生存割合:2年 61%(95% CI 44-78)、5年 43%(28-57)
・全生存期間中央値:未到達。
・Grade 3+肺臓炎の発生を認めなかった。
・脱毛以外に、24ヶ月後に有意なQOLの低下を認めなかった。

 

<結論>
・切除不能III期非小細胞肺がんに対するAdaptive planningを用いた同時化学陽子線療法の忍容性は良好で、全生存成績は良好であった。

 

<関連>

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