とある放射線治療医の備忘目録

とある放射線治療医の覚書

大きな(>5 cm)肺がんに対する体幹部定位放射線治療の有効性と安全性

Woody NM, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2015. PMID: 25841625https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25841625/ ・5cmを超える非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)・後ろ向き研究、米国 <目的>・今回…

切除可能境界膵がんに対するゲムシタビン/S-1併用化学放射線療法の安全性および有効性は??

切除可能境界に対するゲムシタビン/S-1併用化学放射線療法の有効性, 安全性は? ・ゲムシタビン/S-1併用化学放射線療法に伴う高度の消化管毒性は少なく, 施行可能. ・強度変調放射線治療(IMRT)を用いることにより, より治療強度の高い化学療法が併用可能と…

非小細胞肺がん 少数進行病変に対する放射線治療

Friedes C, et al. Cancer. 2020. PMID: 32729962https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32729962/ ・転移を有する肺がん患者における孤立性の病勢進行に対する根治的放射線治療・後ろ向き研究、米国 <背景>・転移を有する非小細胞肺がん患者において、病勢進行…

肝門部胆管がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT)は安全か??【STRONG trial】

Baak R, et al. Cancers (Basel). 2021. PMID: 34439146https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34439146/ ・肝門部胆管がんに対する化学療法+体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiation therapy)・第1相試験、オランダ、STRONG trial <背景>・…

肝外胆管がん 手術後の放射線治療は有効か?? 【KROG 18-14】

Kim KJ, et al. Eur J Cancer. 2021. PMID: 34474218https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34474218/ ・肝外胆管がんに対する術後(アジュバント)放射線療法・多施設共同後ろ向き研究、韓国、KROG 18-14 <目的> ・肝外胆管がんに対する治癒切除後の術後放射線…

転移を有する腎細胞がん 少数の進行病変に対する放射線治療

De B, et al. BJU Int. 2021. PMID: 34228889https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34228889/ ・転移を有する腎細胞がんで、頭蓋外の少数の進行病変に対する根治的放射線治療(definitive radiotherapy)・遡及的研究、米国 <目的>・転移を有する腎細胞がん患…

局所進行直腸がんに対する術前放射線治療 1日2回照射による短期照射の有効性

Doi H, et al. Cancers (Basel). 2021. PMID: 34439265https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34439265/ ・局所進行直腸がんに対する1日2回照射による術前短期放射線治療 <目的>・局所進行直腸がんに対する1日2回照射による術前短期放射線治療の治療成績および…

間質性肺炎を合併した早期肺がんに対する炭素イオン線治療

Okano N, et al. Cancers (Basel). 2021. PMID: 34439358https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34439358/ ・間質性肺疾患を合併しているI期非小細胞肺がんに対する炭素イオン線治療 ・間質性肺疾患(ILD, interstitial lung disease)は肺がん発生のリスク因子で…

早期肺がんに対する体幹部定位放射線治療後の放射線肺臓炎を予測する因子は??

Saha A, et al. Radiother Oncol. 2021. PMID: 33333139https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33333139/ ・早期肺がんに対する体幹部定位放射線治療後の放射線肺臓炎の予測因子の検討・コホート研究、英国 <背景>・医学的に手術不能な早期肺がんに対する標準治…

早期乳がんに対する乳房温存術後放射線治療 乳房部分照射 vs. 全乳房照射

Hickey BE, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2021. PMID: 34459500https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34459500/ ・早期乳がんに対する乳房温存術後放射線治療・乳房部分照射(partial breast irradiation) vs. 全乳房照射(whole breast radiotherapy)…

前立腺がんに対する(低線量率)小線源治療の長期間の有効性

Uribe-Lewis S, et al. BJU Int. 2021. PMID: 34448332https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34448332/ ・限局性前立腺がんに対する低線量率小線源治療 <目的>・限局性前立腺がんに対する低線量率小線源治療の長期の有効性を評価すること <対象と方法> ・遡…

前立腺がん術後にPSA値が下がりきらなかった(persistent PSA)場合の救済治療

Milonas D, et al. Clin Transl Oncol. 2021. PMID: 34453699https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34453699/ ・高リスク前立腺がんに対する手術(前立腺全摘除術)後、PSAが下がり切らなかった患者(persistent PSA)に対する早期の救済治療 <背景>・前立腺が…

高リスク前立腺がんに対する寡分割(短期)照射

Maulik S, et al. Clin Oncol (R Coll Radiol). 2021. PMID: 34456107https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34456107/ ・高リスク 限局性前立腺がんに対する中等度寡分割照射によるアンドロゲン抑制療法(ホルモン療法)併用放射線治療 <対象と方法>・後ろ向き…

食道がん;手術単独 vs. 術前化学放射線療法(CROSS 10年成績)

CROSS. Eyck BM, et al. J Clin Oncol. 2021. PMID: 33891478 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33891478/ ・局所進行食道がん;術前化学放射線療法 vs. 手術単独 ・ランダム化試験、CROSS trial(2004-2008年)、10年成績 ・対象:366例;術前化学放射線療…

局所進行頭頸部がん;アベルマブ併用免疫化学放射線療法 vs. 化学放射線療法単独

Lee NY et al. Lancet Oncol. 2021. PMID: 33794205 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33794205/ ・局所進行頭頸部扁平上皮がん;化学放射線療法 vs. アベルマブ(抗PD-L1抗体)併用免疫化学放射線療法 <対象と方法> ・ランダム化試験、多施設(22カ国、19…

術前化学放射線療法後に外科的切除が行われた食道がん/食道胃接合部がん;ニボルマブによる術後免疫療法

Kelly RJ et al. N Engl J Med. 2021. PMID: 33789008 ・食道がんに対する外科的外科的手術後のアジュバント治療;ニボルマブ vs. プラセボ・ランダム化試験、CheckMate 577 <対象と方法>・対象:術前化学放射線療法後に外科的手術(R0切除)が行われたII-…

限局型小細胞肺がんに対する加速化分割照射による化学放射線療法;標準線量 vs. 高線量

Grønberg BH et al. Lancet Oncol. 2021. PMID: 33662285 ・限局型小細胞肺がんに対する加速過分割照射による化学放射線療法;60Gy/40回 vs. 45Gy/30回 <対象と方法>・第2相ランダム化試験、ノルウェー/デンマーク/スウェーデン(2014-2018年)・対象:18…

乳がんに対する乳房温存術後放射線治療;寡分割照射/短期照射 vs. 通常分割照射

・欧米(カナダやイギリス)から、乳房温存手術後の放射線治療において、3週間程度の寡分割照射/短期照射は5週間程度の従来の通常分割照射に劣らないとの成績が報告されていました。 ・日本でも、多施設共同試験で、寡分割照射照射/短期照射の安全性は確認…

リンパ節転移陰性/非浸潤性乳管がん(DCIS)に対する乳房温存照射;短期照射は安全に施行可能?

【まとめ】 ・早期乳がんに対する乳房温存手術後に放射線治療を行うことにより、乳房内からの再発を減少できることが知られています。 ・以前は、手術が行われた乳房に対し、50 Gy/25回(約5週間)の照射が行われていました。 ・海外のランダム化比較試験の…

ESMO 前立腺がん診療ガイドライン 2020、ホルモン感受性転移性前立腺がん

【まとめと雑感】 ・これまで、転移のある前立腺がんの患者さんに対して、前立腺に対して放射線治療を行う機会は少なかったと思います(排尿障害などの症状緩和を目的とすることはありました) ・ランダム化比較試験結果から、臓器転移がなく、骨転移も少な…

ESMO 前立腺がん診療ガイドライン 2020、限局性/局所進行がんに対する根治治療

【まとめと雑感】 ・転移のない前立腺がんに対する根治的な治療としては、主に手術と放射線治療(外照射、低線量率小線源治療)があります。 ・手術と放射線治療、どちらが良いのかは現時点では不明で悩ましい問題なのですが、それぞれの治療には良い面、悪…

ESMO 前立腺がん診療ガイドライン 2020、前立腺摘出術後放射線治療、サマリ

【まとめと雑感】 ・前立腺がんに対する前立腺摘出術後の放射線治療を行う適切なタイミングには議論がありました。 ・最近のランダム化比較試験(RADICALS-RT、RAVES、GETUG-17)結果から、アジュバント放射線治療(術後放射線治療)を避け、PSA再発時に早期…

少数転移/オリゴ転移に対する体幹部定位放射線治療は長期の生存成績を改善する。

【まとめ】 ・SABR-COMET試験の以前の報告では、標準的な緩和治療と比較して、転移病巣に対する体幹部定位放射線治療を行うことで生存期間を延長できる可能性が示唆されていました。 ・より長い期間経過を見てみると、体幹部定位放射線治療を行った患者さん…

【SABR-COMET】遠隔転移の数が少ない場合、転移病変に対する体幹部定位放射線治療は予後を改善するか?

SABR-COMET. Palma DA, et al. Lancet. 2019. PMID:30982687 【まとめ】 ・がんの患者さんで、遠隔転移を合併している場合には、病気の治癒は望めないとして、全身治療が標準治療として行われてきました。 ・放射線治療技術の進歩とともに、遠隔転移の数が少…

<RADICALS-RT>前立腺がんに対する前立腺摘出術後、放射線治療を行う適切なタイミングは?

RADICALS-RT. Parker CC, et al. Lancet. 2020. PMID: 33002429 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 背景: ・前立腺がんに対する根治的前立腺摘出術後の放射線治療の最適な施行時期は確立されていない。 ・術後(アジュバント)放射線治療と経過観察を行い、生化学的…

小数転移/オリゴ転移合併 非小細胞肺がんに対する局所地固め療法は予後を改善するか?

Gomez DR, et al. J Clin Oncol. 2019. PMID: 31067138 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ・少数転移/オリゴ転移合併 非小細胞肺がんに対する局所地固め療法 (local consolidative therapy, LCT)(放射線治療 または 手術)と維持療法/経過観察 (maintenance therap…

高齢者の早期乳がん, 乳房温存手術後の放射線治療は必要?

高齢者の早期乳がんに対する乳房温存手術後の術後放射線治療は必要? →術後に放射線治療を行った患者さんで, 明らかに再発率が低く, 放射線治療の効果と考えられます。そのため, 術後再発を予防するために放射線治療は必要です。ただし, 放射線治療による生…

転移性非小細胞肺がん;抗CTLA-4併用SBRT vs. 抗PD-1併用SBRT

転移性非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)と体幹部定位放射線治療(SBRT)の併用 ・抗PD-1薬剤(Pembrolizumab )併用 と 抗CTLA-4薬剤(Ipilimumab)併用の有効性の比較 ・2つの前向き研究を遡及的に解析/比較 ・転移性非小細胞肺が…

肝細胞がんに対する体幹部定位放射線治療の有効性/安全性は?

・肝細胞がんに対する体幹部定位放射線治療 ・第2相試験 対象: ・新規診断, 単発性, 肝細胞がん;肝外病変なし, 標準的な局所治療不適, 腫瘍サイズ1-6cm ・体幹部定位放射線治療:45Gy/3回 ・Primary endpoint: 照射した肝細胞がんの18ヶ月局所制御 ・43例…

肝細胞がんに対する体幹部定位放射線治療の有効性/安全性は?

・肝細胞がんに対する体幹部定位放射線治療 ・第2相試験 対象: ・新規診断, 単発性, 肝細胞がん;肝外病変なし, 標準的な局所治療不適, 腫瘍サイズ1-6cm ・体幹部定位放射線治療:45Gy/3回 ・Primary endpoint: 照射した肝細胞がんの18ヶ月局所制御 ・43例…